ガス交換障害とは?|原因・観察ポイント・看護をわかりやすく解説

呼吸・循環アセスメント

はじめに

「SpO₂が低下しているけど、何が原因なのか分からない」

「酸素投与をしても改善しない」

「血液ガスの見方が難しい」

新人看護師の頃、このように悩むことは多いと思います。

ガス交換障害とは、肺胞での酸素と二酸化炭素の交換がうまく行えなくなった状態です。

原因によって病態や対応は異なり、SpO₂だけでは判断できないことも少なくありません。

この記事では、ガス交換障害の基本的な考え方から、種類・観察ポイント・看護についてわかりやすく解説します。

ガス交換障害とは?

肺では、肺胞と毛細血管の間で酸素(O₂)と二酸化炭素(CO₂)の交換が行われています。

吸い込んだ酸素は血液へ取り込まれ、血液中の二酸化炭素は肺胞へ排出されます。

このガス交換が正常に行えなくなった状態が「ガス交換障害」です。

ガス交換障害の種類

ガス交換障害にはさまざまな原因があります。

代表的なものとして、

  • 肺胞低換気
  • 換気血流比不均等(V/Q mismatch)
  • シャント
  • 拡散障害

があります。

肺胞低換気

肺胞低換気とは、肺胞へ十分な空気が送り込めない状態です。

換気量が低下することで、酸素を取り込めなくなるだけでなく、二酸化炭素を十分に排出できなくなります。

その結果、PaCO₂上昇(高二酸化炭素血症)がみられます。

高二酸化炭素血症や血液ガスについては、こちらの記事でも解説しています。

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原因

・中枢からの換気ドライブの減少(ベンゾジアゼピン系薬などの抗不安薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬による呼吸中枢の抑制、呼吸中枢に影響する脳血管障害など)

・神経性疾患(重症筋無力症など)

・肺・胸郭の異常(COPDや喘息などの慢性的な肺疾患、肥満、後側弯症など)

・痰づまりによる気道閉塞

・人工呼吸器の回路閉塞     

など

観察項目

・意識レベル

・気道開通の確認

・呼吸回数

・呼吸パターン

・1回換気量の低下

・肺雑音

・呼吸音の左右差

など

対応

・痰の貯留がある場合には吸引を行う

・人工呼吸器使用中であれば換気回数や1回換気量などの設定を上げる

換気血流比不均等(V/Q mismatch)

換気血流比不均等とは、肺胞換気量(VA)と血流(Q)のバランスが崩れた状態です。

重力に従って、肺下部は血流は多く、上部はガスが多くなりますが、正常時は低酸素の部位で肺血管収縮によりバランスをとっています(低酸素性血管収縮)。

 それにより正常では換気と血流のバランスが保たれていますが、肺炎や肺水腫などでは一部の肺で換気効率が低下します。

その結果、十分に酸素化されない血液が全身へ流れ、低酸素血症を引き起こします。

原因

・気道疾患

・間質性肺疾患

・肺胞疾患

・肺循環障害

など気道肺胞系・肺血管系に異常を来すすべての疾患

観察項目

・各病態の確認

対応

・体位の調整(肺炎や肺水腫など障害のある部位を下にすると血流が増えてもガス交換が十分に行えないため障害のある肺野を上にする)

※ただし、病態によっては例外もあるため、施設や医師の方針に従って対応することが重要です。 

・低酸素性血管収縮は10分以上かかるため、急激な動きを避けて体位交換は段階的に行う(SpO₂値の上昇を確認しながら)

・原疾患の治療

シャント

シャントとは、換気されていない肺胞へ血流が流れている状態です。

酸素化されないままの血液が全身へ流れるため、低酸素血症を起こします。

特徴として、高濃度酸素を投与しても改善しにくいことがあります。 

原因

・肺内血管シャント(肺動静脈瘻、肺血管腫)

・心内左右シャント

・肺胞内の充満(無気肺、肺炎)

・肺胞の虚脱(無気肺)

・肺内毛細血管の拡張(肝肺症候群)

など

観察項目

・呼吸音の左右差

・肺雑音の有無

対応

・無気肺であれば体位ドレナージ、吸引

・肺水腫であればPEEPをかける

・原疾患の治療

拡散障害

拡散障害とは、肺胞と毛細血管の間で酸素が移動しにくくなった状態です。

通常、肺胞内の空気と血液との接触時間は0.75秒と言われています。また、ガス交換に必要な時間は0.25秒と言われています。

肺胞壁や間質が厚くなることで、酸素が肺胞から血液へ移動しにくくなり、ガス交換が十分に行えなくなります。 

運動時や頻脈時には血流速度が上昇し、接触時間が短くなることで低酸素血症が悪化することがあります。 

原因

・肺胞膜の障害・肥厚(間質性肺炎、放射性肺臓炎、薬剤性肺臓炎)

・肺胞面積の減少(広範な無気肺、肺切除、COPD)

・肺毛細血管血液量の減少(多発性肺血栓塞栓症、肺門部腫瘍による肺動脈の狭窄・閉塞)

・血液のヘモグロビン濃度の低下(貧血)

など

観察項目

・呼吸音の左右差

・肺雑音の有無

対応

・原疾患の治療

・疼痛コントロールや鎮静薬の使用を行い、頻脈を避ける

(頻脈になると血流速度が上がってしまい、ガス交換が十分に行えなくなる)

SpO₂だけでは判断できない 

ガス交換障害では、SpO₂だけで病態を判断できないことがあります。

例えば、

  • CO₂貯留
  • 呼吸仕事量増加
  • 努力呼吸
  • 頻呼吸

などはSpO₂正常でも進行している場合があります。

そのため、

  • 呼吸回数
  • 呼吸パターン
  • 意識状態
  • 血液ガス分析

などを総合的に観察することが重要です。

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まとめ

  • ガス交換障害とは、肺胞でのガス交換が障害された状態
  • 原因には肺胞低換気、V/Q mismatch、シャント、拡散障害などがある
  • SpO₂だけでは判断できない
  • 呼吸数や血液ガスを含めた総合的な観察が重要

参考文献

1)改訂増強版 ICU3年目ナースのノート

2)改訂第2版 救急初療看護に活かすフィジカルアセスメント

2)院内研修資料

3)看護roo!「ガス交換のしくみ」https://www.kango-roo.com/learning/8189/

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