Ⅰ型・Ⅱ型呼吸不全とは?|新人看護師向けに分かりやすく解説

呼吸・循環アセスメント

はじめに

 呼吸不全という言葉を聞くことはあってもそれがどのような状態なのかは分からない方もいるかと思います。私も一般病棟で勤務していたときは言葉は知っていてもざっくりと「呼吸が上手く出来ていない状態」としか把握していませんでした。また、血液ガスを見ると「PaO₂が低い」「PaCO₂が高い」と言われますが、それぞれ何が違うのか混乱することも多いと思います。

 本記事では、新人看護師向けにⅠ型・Ⅱ型呼吸不全の違いを整理していきます。

呼吸不全とは

 室内気吸気時のPaO₂(動脈血酸素分圧)が60Torr以下となる呼吸障害、またはそれに相当する呼吸障害を呈する異常状態をいいます。

 呼吸不全では、血液ガスデータをもとに酸素化や換気状態を評価します。
血液ガスの基本的な見方については、こちらの記事で解説しています。

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Ⅰ型・Ⅱ型呼吸不全の違い 

PaCO₂(二酸化炭素分圧)が45mmHg以下であればⅠ型、以上であればⅡ型となります。

Ⅰ型呼吸不全とは 

 通常、吸い込んだ空気中の酸素は肺胞で血液中へ移動し、ヘモグロビンと結合します。
しかしⅠ型呼吸不全では、肺でうまく酸素交換ができず、血液中へ十分な酸素を取り込めなくなります。

例えば、

  • 痰や無気肺などで空気が肺胞まで届かない
  • 肺炎や肺水腫で肺胞と血液の間に炎症や水分がある
  • 血流のバランスが崩れて十分にガス交換できない

などの状態では、酸素が血液へ移動しにくくなり低酸素血症(Ⅰ型呼吸不全)を起こします。

つまりⅠ型呼吸不全は、「肺には空気が入っていても、うまく酸素を血液へ渡せない状態」です。 

Ⅱ型呼吸不全とは 

 Ⅱ型呼吸不全は、肺胞へ十分な空気を送り込めず、換気が不足している状態です。
そのため、酸素を十分に取り込めないだけでなく、体内の二酸化炭素(CO₂)をうまく排出できなくなります。

例えば、

  • COPD
  • 呼吸筋疲労
  • ALSなどの神経筋疾患
  • 鎮静薬の影響

などでは呼吸運動が弱くなり、肺胞換気量が低下します。

その結果、

  • PaO₂低下
  • PaCO₂上昇

を認めます。

Ⅰ型とⅡ型の違いをイメージで整理

看護師が観察するポイント 

呼吸状態の観察

 ・SpO₂

 ・呼吸回数

 ・呼吸パターン

 ・呼吸補助筋の使用(呼吸努力増大確認)

 ・呼吸音(気道狭窄、無気肺、肺炎、胸水貯留の確認)

 ・痰の量、性状(感染しているのか、喀出しやすい性状なのか)

呼吸回数は、SpO₂より早く異常が現れることがあります。
呼吸数増加の原因については、こちらの記事でも解説しています。

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循環動態の観察

 ・血圧

 ・心拍数

 ・頚静脈怒張(右心負荷、心不全の場合にみられることがある)

 ・浮腫(循環不全、体液貯留している場合などにみられることがある)

感染徴候の確認

 ・発熱

 ・CRP

 ・WBC

 ・痰の色(細菌感染しているのか)

 ・胸部レントゲン画像

血液ガスデータ

 ・pH(アシデミアがあるか)

 ・PaCO₂(換気の評価)

 ・PaO₂(酸素化の評価)

 

新人が混乱しやすいポイント 

SpO₂だけで判断してしまう

 SpO₂が保たれていても、呼吸回数増加や呼吸努力増大がみられる場合があります。

特に呼吸回数は、SpO₂より早く異常が現れることもあるため、SpO₂だけでなく呼吸状態全体を観察することが重要です。 

 

痰をとれば改善すると考えてしまう 

呼吸状態悪化時に、まず吸引を考える場面は多いと思います。
しかし、呼吸状態悪化の原因が必ずしも痰とは限りません。

肺炎や肺水腫、無気肺などが原因の場合、吸引だけでは改善しないこともあります。
呼吸音の聴診や胸部レントゲン画像を確認し、痰の貯留によって呼吸状態が悪化している可能性がある場合に吸引を行うことが重要です。

また、必要以上の吸引は患者の苦痛につながるため注意が必要です。

呼吸不全は急変につながる場合もあるため、早期に異常へ気づくことが重要です。
急変時の初期対応については、こちらの記事でまとめています。

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まとめ 

Ⅰ型呼吸不全は「酸素化障害」、Ⅱ型呼吸不全は「換気障害」が中心です。

血液ガスではPaO₂だけでなくPaCO₂にも注目することが重要です。 

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